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ドローンではなく、動けるカメラ。DJI Inspire 3導入から3年目。
これまで多くのドローンを使ってきました。
しかし、INSPIRE3を2年以上使ってきて思うことがあります。
これはドローンではない。空を飛ぶプロ用カメラシステムだ。
ドローンでの映像クオリティに「妥協」という言葉が前提にあった時代は、ここで終わります。

日没直前の光に照らされるINSPIRE 3。熊本・天草の海岸で撮影。
1. 操縦性能 ― “脳内のイメージ”がそのまま軌道になる
ドローンは、構造上どうしても風の影響を受けます。
- 前進と後退で操作感が違う
- 追い風と向かい風で速度感が変わる
- 上昇と下降で挙動が微妙に異なる
通常は、これらを“微調整”しながら飛ばします。
しかしINSPIRE3は違います。
全方向で挙動が揃っている
- 前後左右、上昇下降すべてが同一感覚
- スティック量=そのまま移動量
- 風の影響を感じさせない制御
「思った通りに動く」という表現はよく使われますが、
INSPIRE3は本当に脳内シミュレーションと一致するレベルです。
微調整が不要。
修正が不要。
イメージしたカメラワークがそのまま決まる。
これは、演出精度を一段引き上げる要素です。
2. カメラ性能 ― “妥協しない”という選択肢
「データも焦点距離も、自由自在」INSPIRE3の最大の本質はここです。
- レンズ交換可能(DLマウント)
- 多彩な記録フォーマット
- 最大8K60fps撮影
- フルサイズセンサー
これはもう「ドローンのカメラ性能」ではありません。
シネマカメラを空に上げている。
唯一無二の存在
望む焦点距離で
望む解像度で
望むデータ形式で撮れる
これが成立する唯一のドローンがINSPIRE3です。
INSPIRE3以前は、必ずどこかを妥協していました。
- 画角を諦める
- 解像度を諦める
- フレームレートを諦める
- データ形式を諦める
しかし今は違います。
ProResやRAWが必要な案件ではINSPIRE3を使う。
それが自然な判断になる。
Mavicシリーズは“軽快さ”という武器。
INSPIRE3は“完全性”という武器。
役割が明確に分かれました。
3. ワイヤレスクライアントモニター ― 現場効率が変わる
INSPIRE3は、機体から直接映像を専用モニターへ送信できます。
つまり:
- 操縦者の送信機を経由しない
- 有線接続が不要
- クライアントは好きな場所でモニタリング可能
私は安全なポジションで操縦する。
ディレクターはベストな位置で映像を見る。
これにより:
- バレのコントロールがしやすい
- 動線が整理される
- 有線の煩わしさがない
- セットアップ時間が短縮される
他機種では「操縦者のコントローラーからHDMI有線出力」が基本です。
INSPIRE3はそこを超えています。
これは単なる便利機能ではなく、
撮影現場の生産性を上げる設計思想です。
4. 映像の“リッチさ” ― フルサイズの余裕
ドローンは飛ばすために小型化せざるを得ません。
その制約が、地上カメラとの差を生んできました。
しかしINSPIRE3は:
- フルサイズセンサー
- 専用設計カーボンレンズ
- シネマライン設計
階調、立体感、空気の厚み。
単なる解像度ではなく、
画に“密度”がある。
地上のシネマカメラと並べても違和感が出ない。
これが最大の強みです。
唯一の弱点:18mmと24mmの逆光フレア
正直に書くと、
- 18mm
- 24mm
この2本で逆光時のフレアがやや独特です。
コーティング由来と思われる癖があり、
案件によっては扱いにくいと感じました。
これは今後の改善に期待したいポイントです。
ただし、これは“唯一の弱点”と言っていいレベル。
総括:INSPIRE3は誰のための機体か
INSPIRE3は、万人向けではありません。
しかし、
- 妥協なく撮りたい
- データを理由に断られたくない
- 演出精度を最大化したい
- クライアントワークで信頼を積みたい
そう考える映像制作者にとっては、
現時点での最適解です。
これは高性能ドローンではなく、
空中撮影システムの完成形です。