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DJI Mavic 4 Proの6K ALL-IがDaVinci Resolve Studioで再生されない?──現象と解決への道筋

起こったこと:Mavic 4 ProのALL-Iが読み込めない

最新のDJIの空撮機「Mavic 4 Pro」と、Blackmagic Design社の編集ソフト「DaVinci Resolve Studio」。
この2つの組み合わせにおいて、データのつまずきに直面することとなった。

Mavic 4 Proで撮影したALL-I(All-Intra)形式の映像ファイルが、DaVinci Resolve Studio(有償版)で正しく読み込まれず、「Media Offline」の表示となる。再生もままならない。
機材にもソフトにも問題がなさそうなのに、なぜ?

情報を辿ると、世界中で同様の報告が散見されていたので、解決策とともにまとめておきます。

結論

本事象は、All-Iで、6kの場合に発生するので、4kであれば問題なく利用できました。

ただ6Kの場合でも解決策がありましたので、その原因と対策を記載していきます。

実機検証:MacBook Pro M4 Maxで発生した現象

今回の検証環境は、Apple M4 Maxチップを搭載した最新のMacBook Pro。そのハイパフォーマンス環境下でも、以下の現象が発生した。

  • DJI Mavic 4 ProのALL-I形式の映像が、Macの「プレビュー」や「QuickTime」でも再生できない

  • DaVinci Resolve Studio(有償版)に読み込むと、ほとんどのファイルが「Media Offline」となり再生不可

  • 中にはごく稀に、一部のファイルだけが正しく再生されるケースもあるが、その再現性は低い。

つまり、macOSネイティブの再生エンジンですらファイルの内容を正しく読み取れていない状態であり、このコーデックが現時点での一般的な再生環境を大きく逸脱している可能性がある。

実際に検証した編集環境での挙動比較

本事象について、DaVinci Resolve以外の主要な編集・変換ソフトでも検証を行った。以下はその結果である。

✅ Premiere Pro 2025(macOS)

→ 問題なく読み込み・編集が可能
DaVinci Resolveで読み込めなかったALL-I(H.264 10bit 4:2:2)ファイルも、Premiereではそのまま再生・編集できた。デコードも滑らかで、問題なし。

🟡 Adobe Media Encoder

→ 読み込み・変換は可能。ただしクリップごとのエクスポートに課題あり
ALL-Iファイルは正しく読み込まれ、ProRes等への変換も正常に行える。
ただし、複数のクリップを一括で読み込み変換した際、「個別のクリップを個別ファイルとしてエクスポートする方法」が明示的にわからなかった
この点について知見がある方はぜひご教示いただきたい。

🟡 VLC

データの再生は可能。ただし動画としてカクツキが非常に多いので、データとして生きてるなという確認レベル。

❌ Apple Compressor

→ 読み込み・変換ともに不可
ALL-I形式のH.264 10bit 4:2:2ファイルはインポート時点で拒否される挙動。Compressorでは取り込めなかった。


1. Blackmagic公式フォーラムでの報告

まず目についたのは、Blackmagic Designの公式フォーラムで交わされた議論だ。

「Resolve Studioでも読み込めない。再生できず、真っ暗なまま。」
「Mavic 4 ProのALL-Iは、そもそも6K 10bit 4:2:2という非常に特殊な構成になっており、Resolveがこのストリームを正しく解釈できていないようだ。」

参照:
🔗 Blackmagic Forum – DJI Mavic 4 Pro All‑I decode issue


2. AppleフォーラムやRedditでの技術的分析

さらにAppleディスカッションフォーラムやRedditなど、エンジニアリング視点のユーザーたちによる分析も興味深い。

「Mavic 4 ProのALL-Iは、6K解像度かつ10bit 4:2:2のH.264で記録される。だが、この形式をハードウェアデコードできるGPUは存在しない。つまり、Resolveは再生できないのではなく、“デコード不能”なのだ。」

参照:
🔗 Apple Discussions – Mavic Pro 4 ALL-I won’t play
🔗 Reddit – Mavic 4 Pro ALL-I H.264 4:2:2 decode issue


3. Redditなどコミュニティの実体験

RedditやDJIのユーザーフォーラム「MavicPilots」でも、多くの実体験が寄せられている。

「M1 Macでは一部再生できたが、M2 Maxではまったく再生できず。」
「Resolveだけでなく、QuickTimeやFCPでも再生できない。これはコーデックの問題だ。」

また、一部ユーザーが見出した重要な回避策も紹介されている。

「Resolveの環境設定で“ハードウェアデコード”をオフにしたところ、再生できるようになった。」

参照:
🔗 MavicPilots Forum – All-I compatibility and decode issues
🔗 Facebook DJIユーザーグループ投稿(該当スレッド)


まとめ:問題の構造

この一連の問題は、単一の原因ではなく複数の層で構成された技術的不整合が絡んでいる。

  • ファイル形式の特殊性(6K・10bit・4:2:2・ALL-I・H.264)

  • Resolveのデコーダ処理の制限(特にハードウェア支援まわり)

  • macOS/WindowsそれぞれのGPUデコード能力の限界

たとえ最先端のマシンとソフトを用いていても、「ファイル形式」が対応外であれば、システム全体が機能不全に陥る——。そのことを痛感させられた。


解決策:中間フォーマットへの変換(Shutter Encoder)

こうした非互換性を実務的に乗り越える方法として、私が辿り着いたのは中間フォーマットへの変換という王道の手段である。

選んだツールは、無料で使えるShutter Encoder
内部にffmpegを搭載しながら、GUI操作がシンプルで扱いやすく、Apple ProRes 422 HQやLT、DNxHRといった編集耐性の高い形式へ簡単に変換できる。

実際の変換手順(例)

  1. Shutter Encoderを起動

  2. 該当のALL-I映像をドロップ

  3. 出力形式に「ProRes 422 HQ」を選択

  4. 必要に応じてビットレートや解像度を保持

  5. 変換実行

これだけで、Resolveが難なく読み込める中間フォーマットが得られる。

参照:
🔗 Shutter Encoder公式サイト(Mac/Win対応)


🛠 今後の期待

BlackmagicやDJIが、今後のアップデートによりこの6KでALL-I形式への正式な対応を進めてくれることが期待される。
しかし現時点では、4Kで撮影するが、最も最適な状況で、6Kの場合は「Premiere Proに逃げる」か「Shutter Encoderなどで変換する」ことが、もっとも安定した選択肢となる。