ブログ
8K60fpsRAW動画での、データ変換。INSPIRE3を用いた8K HDRドローン空撮 〜花火夜景撮影のワークフロー〜
九州の夏を彩る花火大会。その壮大な光景を、DJI INSPIRE3を使い、8K60fpsProresRAWで空から記録しました。夜空を切り裂く閃光と漆黒の背景――極端な明暗差を高品質に残すため、私たちはRAW撮影と特別な編集ワークフローを採用しました。
撮影条件と技術的課題
- 輝度差が極端:花火の閃光は非常に明るく、背景はほぼ完全な黒。HDR撮影が必須。
- 繊細な発色:花火特有のグラデーションを階調破綻なく記録するためにはRAWが不可欠。
- 高速動体:花火の破裂から消失までのわずかな時間を、滑らかに捉えるために高フレームレートが必要。
機材と設定の選択
使用した機材はDJI INSPIRE3。8KでRAW撮影を行う場合、CinemaDNGは25fpsまでに制限されます。一方、Apple ProResRAWなら8K60fpsまで対応可能。今回は滑らかな映像表現のため、ProResRAWを選択しました。
編集ワークフローと変換作業
問題は、DaVinci ResolveがProResRAWをネイティブ対応していないこと。そこでMac専用のRaw Converter(https://apps.apple.com/us/app/raw-convertor/id1598580439)を使用し、ProResRAWからCinemaDNGへ変換しました。
- 無料版は300フレームまで対応
- 有料版(13,000円・AppleStore経由)でカメラごとのアドオンにて無制限化(今回はINSPIRE3のフレーム制限を解除に課金しました)
- BRAWのように7:1、5:1〜Losslessまで圧縮率選択可能
- おおよそMacBook Pro M4 MAXでは、1分の8K ProResRAW映像を約3分で変換できました。
花火のハイライト部分はLosslessで保持し、暗部中心のシーンでは4:1などを選択。容量を抑えつつ画質を最大化しました。
なお、Raw Converterはカメラごとに課金してフレーム数を無制限化する方式を採用しています。導入を検討する場合は、利用しているカメラが対応しているか事前にチェックすることをおすすめします。

djiinspire3_Raw Converter
編集後の成果
変換したCinemaDNGをダヴィンチリゾルブに読み込むと、夜空と花火が驚くほどの階調で再現されました。明暗差の激しい九州の夏空も白飛びせず、影も潰れない。まるで地上のシネマカメラを空へ持ち上げたような映像が完成しました。
編集画面には、夜空に咲く鮮やかな光の花。その瞬間と余韻までが、8K HDR映像の中で息づいています。

djiinspire3_RAW
まとめとご案内
今回のプロジェクトは、九州でのINSPIRE3による8K HDRドローン空撮の可能性を証明しました。特に花火や夜景のような高輝度・高コントラスト被写体では、このワークフローが圧倒的な威力を発揮します。(映像は来年公開予定です)
九州でのドローン空撮やINSPIRE3による高品質映像制作のご相談は、ぜひ当社へご連絡ください。